6日目土曜日 インタールードⅡ 後編
あの女の病室の、ドアが開いている。
バカな!?
ここの病棟のドアはすべて厳重にロックされている。
そう簡単に開くことなどできないはずだ。
「まさか……」
あわてて病室に入り、ベッドの上を確認してみる。
するとそこは、もぬけの殻だった。
「しまった!!」
まさか、あんな状態で逃げ出すなんて!!
すぐに探さないと――
「がっ、うっ……」
そのとき、耳障りな音とともに脇腹をうしろから……なにかで打ちつけられたような感覚がした。
「ぐっ」
あまりの衝撃に、たまらず床に倒れてしまう。
い、今の音は……まさか銃声!
「……っっ」
脇腹に手を当てると、ぬめりとした感触が伝わってくる。
やっぱり!
「っくそ、私ともあろうものが」
顔を上げて、銃声がした方向を見ようとした。
しかし――
「うっ!?」
目蓋を閉じているわけでもないのに、視界が暗闇におおわれていく。
マズい! この状態は……マズい。
「う、ああ……」
だ、誰か……誰でもいい……あの女を……
「よくも、騙してくれたわね」
意識が途切れる寸前、私はあの女の恨み声を聞いていた。
「う、うう……」
『誰かを恨んだら、それが自分に返ってくるだけだもの』
親友の姿が走馬灯のように浮かんでくる。
「ぃ……ぁ……き……」
わ、私は――
わた……しは……
…………………………。
そこで……
私の意識は……暗闇へと閉ざされた。