6日目土曜日 インタールードⅡ 前編
深夜――
「言い過ぎた……かな」
病院の廊下で、私は1人つぶやいた。
「はぁ……」
なんだか、自己嫌悪に陥ってしまう。
あんな風にヒステリックに責め立てるなんて。
でも、どうしても言いたかった。
あの子がこれまでどんな思いをしてきたのかを……知らしめたかったから。
あの子がどれだけ苦しんできたかを……思い知らせたかったから。
たとえあの子が、そんなことを望んでいないとしても……
…………………………。
多分……あの子はもう、目を覚ますことはないだろう。
まだ息があることすら、奇跡に近い状態なのだから。
私は彼女に、なにをしてあげられたのだろうか?
なにをしてあげるべきだったのだろうか?
正しい答えがあったとも思えない。
とにかく、私にできることはここまでだ。
あとは……そうだな、あの女の様子でも見ておこう。
「おとなしくしてればいいけど」
私はあの子のいる病室を離れて、女のいる病棟へと向かった。
あの女のいる病棟は厳重な警戒がしかれているため、おいそれと入ることはできない。
といっても、私にはそんなもの関係ないけど。
いくつものセキュリティをかいくぐり、病棟に忍び込む。
そして、女の病室の前に来たところで――
「え……?」
異変に気がついた。